社会人が身につけるべきビジネススキル一覧|ビジネススキルを分かりやすく分類し体系化
近年、ビジネスの環境は凄まじいスピードで変化しています。そのような環境の中で生き残っていくためには、社会人として高いスキルを持ち変化に柔軟に対応していくことが必要になります。
一方で社会人が身につけるべきビジネススキルは多岐にわたります。リーダーシップやロジカルシンキング、マーケティング、ライティング、プログラミング。例として挙げただけでもこれだけの数があります。何から手をつければいいのか悩んでしまいますよね。
そして、そのような膨大なビジネススキルの数々が体系化されておらず全体感がわかりづらいことがスキルの勉強や習得を妨げる要因の一つになっているのではないかと感じます。
そこで今回は、世の中に散らばっている様々なビジネススキルに関する情報を調査分析し、独自に体系化しましたのでご紹介します。ぜひ皆さまのビジネススキル習得に役立ててください。
ビジネススキルとは
ビジネススキルとは、社会人が事業を行う上で役に立つ能力のことを指します。
例えばマーケティングや財務など経営に関する能力や、プロジェクトマネジメントやネゴシエーションなど実務的な能力、さらにはロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった物事を概念化する思考能力などがビジネススキルに当たります。
他にも語学力やストレスへの対応力など、一口にビジネススキルと言っても様々な能力が含まれています。
ビジネススキルの分類としてよく使われるものに、ハーバード大学のロバート・カッツという教授が提唱したカッツモデルがあります。具体的には以下の3つに分類するというものですが、実はこれは"マネージャー"に求められるスキルとして分類したものであり、実務層も含めた社会人全般に求められるビジネススキルを網羅しているものではありません。
カッツモデル
・テクニカルスキル(業務遂行能力)
・ヒューマンスキル(対人関係能力)
・コンセプチュアルスキル(概念化能力)
そこで次に、より一般化したビジネススキルの分類について当サイト独自に体系化したものをご紹介します。
社会人が身につけるべきビジネススキル一覧
まず結論として、表にまとめましたのでご覧ください。
大まかな分類に関しては2006年に経済産業省が発表した「社会人基礎力」という概念に基づいています。「社会人基礎力」の詳細については経産省のホームページをご覧ください。社会人基礎力(METI/経済産業省)
本表ではそれをベースとして、「社会人基礎力」の各要素に紐づく形で具体的なビジネススキルを右端に記載しております。
本表の使い方としては、はじめに左側に記載してある社会人基礎力やその要素の中から自分が興味のある項目を選んでいただき、その後、該当項目の右端に書いてある個別のスキルについて調べてみる、といった要領でお使いいただければと思います。
以下、社会人基礎力にて定義されている、12のビジネススキルの分類についてそれぞれ解説したいと思います。
主体性
主体性とは 「物事に進んで取り組む力」
上司や先輩の指示でしか動けない所謂指示待ち人間ではなく、やるべきことを自らで考え動くことができる人材が求められています。
背景としてはAI(人工知能)やRPA(ロボット)の進化により、人間が指示できるようなことであれば機械で代替することが可能になってきているからです。
だからこそ誰かからインプットを受ける前に、自らインプットし自発的に行動を起こせるスキルが必要となるのです。
主体性は、当事者意識・意志・積極性といったように抽象的にしか表現できないものですが、それ故に多くの企業でこのスキルを持った人材が不足しており、企業が最も求めるスキルの一つとなっています。
主体性を向上させるためのスキルとしては、「企画力」や「モチベーションコントロール」のほか、「自己実現理論」を学ぶことなどがあります。
働きかけ力
働きかけ力とは 「他人に働きかけ巻き込む力」
プロジェクトやビジネスの規模が大きくなるにつれて、必要なリソースやスキルは増えていきます。複雑化が進んでいる現代において、一人の力で成り立っているものはほぼ無いと言っても過言ではないでしょう。
そのような時代だからこそ、周囲の人間の協力が不可欠であると判断した際に、協力者を集めることができる能力は非常に重要です。現代においては必須な能力と言っても差し支えないかも知れませんね。
働きかけ力を向上させるためのスキルとしては、他者を動かすための「リーダーシップ」や「ネゴシエーション」のほか、自他の考えを尊重しつつ主張をするための「アサーティブコミュニケーション」などが挙げられます。
実行力
実行力とは 「目的を設定し行動する力」
VUCAとも呼ばれる不確実性が増す社会において、何のために行動するのかといった目的やゴールを設定することは大きな意義を持ちます。
そして何よりもそれを実現するためにリスクを取って行動を起こせることが価値を持つ時代に突入しています。
実行力を向上させるためのスキルとしては、目的や要件を定義し、実現に向けて品質・コスト・時間をコントロールするための「プロジェクトマネジメント」や、ITスキルや財務・経理関係のスキル、モノづくりに関する資格などの「各種テクニカルスキル」があります。
課題発見力
課題発見力とは 「現状を分析し課題を明らかにする力」
近年においては「課題を解決する力」よりも「課題を発見する力」が特に重宝されます。というのも多様性が進む社会において、課題も同様に多様化が進んでいるのです。
つまりある特定の人にとっては課題でも別の人にとっては課題には感じないといった課題(所謂マイノリティの課題)が顕在化してきています。
このような課題を解決するために、様々な視点で現状を分析し問題点を洗い出す力が最近求められているのです。将来的にも需要が増すと考えられる、今最も身につけるべき能力の一つです。
課題発見力を向上させるためのスキルとしては、論理的に物事を考える「ロジカルシンキング」や、今の状態を疑ってかかる「クリティカルシンキング(批判的思考)」が挙げられます。
計画力
計画力とは 「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」
課題を解決するための手段は無数に存在します。また、ある課題を解決しようと思ったら別の課題が表れるといったことがあります。これらは様々な事象が複雑に絡み合った現代社会においては珍しくないことです。
だからこそ課題解決に向けたプロセスを可視化し最適解となる手法を選択できる能力というのが重要になるのです。課題がより大きくなればなるほど必要とされる能力でもあります。
計画力を向上させるためのスキルとしては、物事の一連の流れをプロセスとして分解して捉える「プロセス思考」、時間的制約を上手くコントロールするための「タイムマネジメント」、課題を様々な観点から広く分析して戦略を練る「マーケティング」などがあります。
創造力
創造力とは 「新しい価値を想像し生み出す力」
創造力は想像力とも言い換えることができます。製品やサービスのライフサイクルが短くなっているこの時代においては、常識や先入観、固定観念に縛られずに斬新なアイデアを次々に生み出す能力が求められます。
「新しく生まれるモノは全て既存のモノの組み合わせである」という言葉があります。この言葉が表すように、多角的な視点で情報を収集しそれらを上手く組み合わせる力は、時代に限らず普遍的に求められるスキルです。
創造力を向上するためのスキルとしては、全く別の物事をアナロジー化して気づきを得る「ラテラルシンキング(水平思考)」や、あえて論理を飛躍させて斬新なアイデアを得る「クリエイティブシンキング」が挙げられます。
発信力
発信力とは 「自分の意見を分かりやすく伝える力」
自分の考えていることを正確に伝えることは思った以上に難しいことです。特に異なる分野の人たちの交流が増えてきている今、同じ言葉でもその意味が分野によって違ってくることなどもあります。
また近年、スタートアップ企業やフリーランスなどでは各種SNSを活用したセルフブランディングができることも重要視されています。インフルエンサーという言葉も浸透してきましたよね。
そこで重要になってくるのが発信力です。自分の考えていることを正確に言語化し、相手に理解や納得してもらえるように根拠となる情報やデータを準備する。このスキルが求められています。
発信力を向上させるスキルとしては、「プレゼンテーション」や「ライティング」といった訴求力を持たせるためのテクニックや、グローバルに対応するための英語や中国語といった「各種語学力」などがあります。また最近では「日本語」について改めて学びなおすという人も増えてきています。それだけ発信力が求められているということですね。
傾聴力
傾聴力とは 「相手の意見を丁寧に聴く力」
発信力が求められるのと同時に、相手の意見を聞き取る傾聴力も求められています。特に最近では、言葉の一部を切り取って相手を批判することが社会問題にもなっていますよね。
それを防ぐためにも相手の言葉に耳を傾け、前後の文脈も踏まえて相手の意見を理解することが重要です。また、相手に意見を言ってもらえるようにするためには信頼関係を構築することも重要であり、それも傾聴力に含まれていると言えます。
傾聴力を向上させるスキルとしては、「パラフレーズ」や「質問力」といった相手の意見を引き出し認識齟齬を減らすための対話のテクニックや、スムーズに意見交換を進めるための「ファシリテーション」などがあります。
柔軟性
柔軟性とは 「意見の違いや立場の違いを理解する力」
グローバル化や価値観の多様化が進み、今では多様性を重要視するダイバーシティの考え方が一般的になっています。様々な価値観を受け容れることで多様な発想が可能になり、それをビジネスに適用することで適切なマーケティングや効率的なスケーリングを可能にします。
また、黒電話が携帯電話になりさらにスマートフォンへと進化したように、テクノロジーも時代とともに急速なスピードで進化していきます。このような技術的な変化を受け入れることも一種の柔軟性と言えるでしょう。
柔軟性を向上させるスキルとしては、多様な価値観や能力を理解し適材適所にすることで生産性を最大化させる「ダイバーシティマネジメント」などがあります。
情況把握力
情況把握力とは 「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」
情況把握力は大きく2つの力に分けることができます。1つは「情報を収集する力」、もう1つは「情報を整理する力」です。
より多くの情報を収集しそれらを様々な観点で整理することで、その場に応じた適切な対応が可能になるのです。
また様々な人や組織といった各ステークホルダーの目線で物事を考えることも非常に重要なスキルです。国連が提唱しているSDGsにもあるように現在は国際的な世論として「持続可能性」が常に求められています。
そのためより広い視点・視野・視座で人や物事を整理し全員にとってメリットがあるエコシステムを構築することが必須となってきているということです。
情況把握力を向上させるスキルとしては、様々な情報を収集し適切に応用する力である「情報リテラシー」や、全体を1つのシステムとして人間の行動や仕組みを捉える「システム思考」、「デザイン思考」などが挙げられます。
規律性
規律性とは 「社会のルールや人との約束を守る力」
現代は「信用社会」であると言われています。中国の大手企業アリババやテンセントが展開を進めている信用スコアに基づいて個人が相互に与信を評価する仕組みも世界的に注目されていますし、ネットでの炎上なども現代が信用社会であることを象徴づける事象ですよね。
このようにこれからの時代は他者からの信用を得ることおよび信用を損ねないことが、これまで以上に重要視されます。そのためにモラル(倫理観や道徳観)やその地域にあるルールを理解し守ることが必要なのです。
一度失った信用を取り戻すことは容易ではありません。「知らなかった」「配慮が足りなかった」ということでは済まされない問題になってしまいます。
だからこそ現代では自発的に周囲の模範となる「積極的な規律性」が求められます。
規律性を向上させるためのスキルとしては、個人的な信用を得るための「ビジネスマナー」や、組織としての信用を得るための「倫理観」、「コンプライアンス」などがあります。
ストレスコントロール力
ストレスコントロール力とは 「ストレスの発生源に対応する力」
現代に働いている人のおよそ4人に1人がメンタルヘルスに関わる問題を抱えていると言われています。パワハラやセクハラなど〇〇ハラスメントという言葉を聞かない日も少ないと感じるほどメンタルヘルスは社会的な課題となっているのです。
一方で現代人の多くはストレスがたまったら別のことで発散するという手段を取っている人が多いように見受けられます。しかしそれではいつまでたっても定期的にストレスの問題に悩まされることになってしまします。
そのため最近ではストレスの発散という対症療法ではなく、ストレスの原因であるストレッサーを適切に対処する根本治療が注目を集めています。
ストレスコントロール力を向上させるためのスキルとしては、心の強さを指標化して適切にコントロールすることを促す「メンタルタフネス」という考え方や、対症療法から根本治療まで包括的なストレスの対処法を学ぶ「ストレスココーピング」などがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。冒頭でも述べましたが、これからの時代は個人のスキルが求められます。時代に置き去りにされないよう、ぜひ今回ご紹介した一覧表を活用してビジネススキルの習得に役立ててみてください。
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